pixiv事務局です。
この度、本選審査員による審査が終了し、P-1GRANDPRIX2010の受賞者が決定し
ました。多くの参加者の中から2010年の受賞者の方々を紹介します。
◆P-1GRANDPRIX
海外代表 Rozerさん/『夢のメロディー』
・賞品
賞金20万円+P1トロフィー+Quarterly pixivに掲載
描き下ろしイラストの依頼
◆優秀賞
近畿代表 ニコさん/『いろはに金平糖』
・賞品
賞金10万円+スタートロフィー+Quarterly pixivに掲載
◆佳作
中部代表 月穂さん/『さあ、夜の宴へ』
・賞品
賞金5万円+スタートロフィー+Quarterly pixivに掲載
また、今回審査を行っていただいた審査員の方々から、最も注目したイラストに対するコメントと総評をいただいております。
■JNTHED(イラストレーター)
・注目したイラスト
岬さん/『君魚』
増殖するメカと幾何学の中に僕の大好きなエレクトロニカ・ミュージックが聴こえました。
・総評
どの作品も技術的には素晴らしいです。ポスターなどに大きく印刷した際の見栄えも計算されていて、魅せ方を分かっているなぁ!と感じました。ただ、”要素の足し算”で描かれた絵が多く、”引き算”で描かれた絵も見てみたいと思いました。要素を減らした上で高い評価を得るのは難しいですが、敢えてそこにチャレンジし、勝ち残るポテンシャルを持つ作品を創って頂きたいです。
■okama(イラストレーター・漫画家)
・注目したイラスト
Rozerさん/『夢のメロディ』
かわいい絵です。細かくカラフルな花びらが綺麗。あっさりしていて観ていて疲れない。背景とキャラが溶け合っているのに、主役を見せるように明暗や書き込みが整理されていて上手だと思います。”
・総評
美少女系の絵が多いのかと勝手に思ってましたが、みなさん個性的で楽しめました。ネットでフラフラ採取する感じに。好みの絵を選んでいきました。だけど選別するとなると、全体は気に入っていても、構図や絵の中心付近に曖昧なものがあると、気になりました。みなさん目指す方向が決まっている感じなので、どんどん進めて新しい絵を発明していってください。
■redjuice(イラストレーター)
・注目したイラスト
岬さん/『君魚』
大きなサイズで見た時に、圧倒的なアナログの描線の力と密度を感じました。キャラクターの表情も美しく、最も印象に残った一枚です。”
・総評
SAIやPhotoshopの普及によってデジタル彩色ならではの個性的で多様な技法が生み出される中、一部では技術の均一化や技法、ソフトに頼った描写も見られ、絵を描くことの楽しみとは何かということを考えさせられました。一方、ピクシブというインターネットを主戦場とする舞台でありながら、アナログの持つ力強さというのは、これからも忘れられることは無いと実感することができました。ポイント制ということで評価される絵柄に偏りが出るのではないかと危惧もありましたが、予想以上に多種多様な作品を楽しむことができました。
■いとうのいぢ(イラストレーター・ゲームクリエイター)
・注目したイラスト
ニコさん/『いろはに金平糖』
とにかく可愛い!鮮やかで懐かしい端切れで作ったお手玉みたいな世界と、キャラや小物ひとつひとつに描き手の愛着が見えるような作品。好きです。
・総評
とてもレベルが高く、描く力が備わった人たちが多いことに驚きました。皆さん、見せ方や色使いがほんとに巧い。ここから更に、自分だけの世界を追求していけばもっと研ぎ澄まされていくのかなあと思います。見る側として、描き手さん達の未来が楽しみです。
■バーニア600(イラストレーター)
・注目したイラスト
気まぐれサラダさん/『愛の挨拶』
ザクザクっと描かれてるハズなのに、繊細に見える厚塗りの妙に惚れました。背景の花等。100人が見て、何人分かるか不明なこう言う場所をガッツリ描かれてる絵と言うのは、個人的に好き…と言うか尊敬します。
・総評
イチ絵描き見習いからすると、改めて色々な塗り方があるんだなと。特に、省略の美学!不要な場所はズバッと削ぎ落とし、画(情報)にメリハリを出す重要作業。その削ぎ落としポイントが色々と違うので、こう言う引き算もアリか!と、参考にさせても頂きました(笑
■マサオ(イラストレーター)
・注目したイラスト
コパさん/『夕風の音色』
一枚の絵の中に透明感や色の美しさ、町並みの寂しさ、植物の生き生きさの全てが調和していて、素晴らしいと思いました。女の子も可愛さと妖艶さの両面を持っていて、本当に凄いです。
・総評
物凄くレベルが高くて見ごたえがありました。それでいて全てのイラストが独自のテーマを持っていて、見ていて凄く楽しかったです。
■村上隆(アーティスト、カイカイキキ代表)
・注目したイラスト
風旅里伊さん/『ことのは』
この人の書き方が非常にいいなと思いました。
僕はこう、ねちねち描くよりもさらっとしたアニメ風味なほうが好きなようです。
・総評
情景のものが多いのと、キャラクターに女性しかいない。男性はpixivではあまり、モチーフとしては書かれないのかな、っていうのは気になりました。無言さん『天地創造』だけ超常現象的な感じで、キャラクターもいませんが、他はほとんど女性ですね。新海誠さん的な情景っていうのは、やはり今もずっと続いてるような気がします。自分が住んでいる身近かな町並みのなかに、萌えキャラが佇んでいる、そういう情景を如何にファンタジックに描くか、もしくはイラストレーション化するかがテーマになっています。一つ気になったのは、日本は宗教観みたいなものが薄い民族というか、まあ戦後は特に宗教観が薄くなっていますが、これを見ると、表層的なキリスト教の影響、天使ガブリエルであるとか、天空からさす光であるとか、そういうものが非常にクローズアップされてるのが気になりました。つまり、西洋的な宗教観がかなり奥深くまで入り込んで来ているのかな、と感じたんです。
■青柳昌行 (株式会社エンターブレイン 専務取締役)
・注目したイラスト
電蝶さん/『出発』
単純に構図、作画がうまいということだけではなく、絵の中にストーリー性を強く感じました。やはりイラストは観る人に訴えるものがあるべき、という観点で選んだ作品です。
・総評
全体のレベルの高さに改めてビックリしました。それぞれの作品に、良いところ、感心するところがあったといえるでしょう。あえて苦言をいうならば、構図をもう少し工夫した方が良い作品が多かったことです。やはり一枚絵ですから、部分的に良いだけではなく、全体の完成度こそが大事と思います。
■岸本憲治(株式会社講談社ARIA編集長)
・注目したイラスト
ヨシノリョウさん/『Imagination photographer』
写真や被写体に関するモチーフが、色とりどりに溢れ出る様は、見る者をわくわく元気にさせてくれます。女の子たちの表情も楽しげで、好感がもてました。
・総評
参加者の皆さんのスキルの高さと発想の豊かさには、正直驚かされました。デジタルツールを肩肘張らず使いこなし、「カッコよさ」だけではなく、「暖かさ」「やすらぎ」など、いろいろな情感を表現できている。漫画編集者としては、この画力、表現力で漫画も読んでみたいという気になりました。皆さん、ぜひ漫画にも挑戦してみてください。
■中里郁子(株式会社講談社ITAN編集長)
・注目したイラスト
Rozerさん/『夢のメロディ』
黒と色のバランスがすばらしく、少女が夢にたゆたう様子に、共にこの夢に入りたくなりました。一瞬のまどろみが教室をあっという間に夢幻の世界に変えていく様子を、絶妙な構図で表現している点に心惹かれます。
・総評
香水のアフターノートのように後からしみいる作品、残り香が漂うように、記憶から消えない表情。見た瞬間から、その清新な香りに心奪われる世界観。作品それぞれのオドロキに、絵の無限の可能性を感じることができました。彩り豊かな作品も、あえて色を抑えた作品も、色をわがものにしていることが、さらに世界観を深めることに成功していたように思えます。たった一枚の絵にストーリーがこめられ、一瞬の表情の切り取りに、そのひとの人生を思わさせる、そんな選考に参加させて頂けて、本当に幸福でした。
■吉田雄平(コミティア実行委員会)
・注目したイラスト
Rozerさん/『夢のメロディ』
世界観、キャラクター、色彩、どれもが主張しすぎず見事に調和する、頭一つ抜けたセンスに惹かれました。少女の見る夢の世界に誘われるかのような、眺めていて気持ち良い心地にさせてくれます。
・総評
本選まで勝ち抜いた方々ということで、どれもレベルが高く、審査には頭を悩ませました。選ぶ立場になって分かったことは、イラスト一枚だけを見て描き手の方の力を判断しなければいけないということ。逆に言えば、描き手の方はその一枚に自分だけが描ける好きなものだったり、素敵な世界観であったりを上手く表現し、見る方に伝えられるかが大切なわけで。改めてイラストの奥の深さを認識しました。ありがとうございました。
(順不同 敬称略)
最後に、pixiv運営から感謝のご挨拶とP-1GRANDPRIX2010に対する総評にて締めさせていただきます。今回、pixivが主動となって開催、進行を行ったP-1GRANDPRIX2010の受賞者発表を無事に迎える事ができた事を大変嬉しく思っています。予選、本選と、クオリティーの高い様々な ジャンルのイラストを見る機会に恵まれ、絵を描くことの楽しさと、可能性を改めて感じる事ができました。本企画は、創作に励むユーザーのイラストを応援し、様々な方に創作の楽しさを伝えるという目的の下に引き続き開催してまいりたいと考えております。また来年、P-1GRANDPRI2011開催の際にはぜひよろしくお願いいたします。
今後ともpixivをよろしくお願いいたします。