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新人賞イラストコンテスト「P-1GRANDPRIX2011」受賞者発表

pixiv事務局です。

8月1日~8月31日の期間で予選を行い、11月3日~11月6日の期間、中野区のギャラリー「pixiv Zingaro」にて本選先行展示審査を開催していたpixiv新人賞企画「P-1GRANDPRIX2011」ですが、この度本選審査員による審査が終了し、本年の受賞者が決定しました。

それでは、審査/投票によって選ばれた2011年の受賞者の方々を紹介します。

◆P-1GRANDPRIX
賞金20万円/P1トロフィー/Quarterly pixivに掲載
描き下ろしイラストの依頼
p1grandprix
タイトル:『形而上旅行』
受賞者:四々九さん (福岡県代表)

◆優秀賞
賞金10万円/スタートロフィー/Quarterly pixivに掲載

タイトル:『ιDraconids』
受賞者:里伊さん (岡山県代表)

◆佳作
賞金5万円/スタートロフィー/Quarterly pixivに掲載

タイトル:『ごみ屑と宇宙のキス』
受賞者:独楽子さん (山口県代表)

審査員の方々から、最も注目したイラストに対するコメントと総評をいただいております。


■岩渕貞哉 (『美術手帖』編集長/美術出版社)

【注目したイラスト】

タイトル:『幻想遊園』
受賞者:水斗-Mito-さん (東京都代表)

作品を観ながら、どんどん拡大していっても全然情報量が減らずに、細かいディテールが次々表れて、別の世界に入り込んで行くような鑑賞体験が新鮮でした。

【総評】
今回、作品を観る時に、最初に全体を観て、その後、拡大してディテールをじっくり観て、また全体像に戻ってという風に観たのですが、自分の目の認識の解像度が上がったみたいに、最初の時に見えていなかった細かい光の感じとか、肌のテクスチャーとかが全面にぶあっと飛び込んできて、すごく吃驚しました。これはデジタルで絵を描いたり観たりするときの大きな魅力かもしれない。とにかく、この体験がすごかったです。楽しかった!


■名越稔洋 (株式会社セガ 上席クリエイティブオフィサー)

【注目したイラスト】

タイトル:『集団生活』
受賞者:名称不明さん (三重県代表)

「時間」という概念を感じる作品でした。バックのビルの直線と手前の泡の球形、頬の膨らみも含めた構図にもしっかりした狙いを感じます。
時間という写真的な要素と風情を同時にまとめた緻密な計算は素晴らしい。

【総評】
皆さん技術は一定のレベルを超えていますし、感心する作品ばかりでした。ただイラストという媒体が世の中に乱立する中で、結局決め手は「作者の意思」を自分なりにどう咀嚼して画面に反映するのかを「執念深く」そして「素直に」表現する事です。そしてそのためには描く以上に、沢山の経験をして世の中を良く観察することです。若い皆さんが、これからの人生で素晴らしい体験をされて、素晴らしい作品が生まれる事を祈っています。


■浜村弘一 (株式会社エンターブレイン 代表取締役社長)

【注目したイラスト】

タイトル:『狐緣』
受賞者:xiajiさん (海外代表)

絵の巧さはもちろんですが、なによりトータルで見たときの個性を高く評価しました。物語を感じる事ができるんですよね。なにやら長いお話の、見せ場のひとつを切り取って見せてもらったような、そんな気がしました。

【総評】
絵としてのクオリティーの高さは、どれも申し分ありません。そのまま小説や単行本の表紙や挿絵に使いたいような作品がたくさんありました。出版社的に見れば、即戦力級が盛りだくさんという印象です。キャラクターも魅力的で、絵として動いているところを見てみたい作品も、いくつもありました。コミックスやアニメになったら、楽しいと思うんだけどな。ぜひ、そっちにも挑戦してほしいな。


■藤ちょこ (イラストレーター)

【注目したイラスト】

タイトル:『集団生活』
受賞者:名称不明さん (三重県代表)

実際にありそうでなさそうな舞台設定、空気感がたまりません。
こんな場所でぼうっと午後を過ごしてみたいです。
子供達の、ちょっと退屈そうな表情もすごく素敵です。

【総評】
どの作品も本当に力と愛がこもっていて、選ぶのにずいぶん時間が掛かってしまいました。商業イラストとしてどうかではなく、純粋に作品として素敵だなあと思うものを選ばせて頂きました。世界観や空気感も含めて絵にしていく、という意気込みを感じる作品が多かったのが嬉しいです。一描き手としても、とても勉強になりました。


■三澤 寛志 (画家、絵画講師)

【注目したイラスト】

タイトル:『大樹の森』
受賞者:松浦いちろーさん (長崎県代表)

私が最も魅了されたのはこの作品のマチエール(技法による絵肌)の美しさです。技巧とテーマが噛み合った作品が輝きをもつのはデジタルイラストもアナログ絵もかわらないものだと再認識させられました。

【総評】
pixiv Zingaroでの先行展示会は見応えのあるものでした。本選に残った作品はどれも表現力に優れ、それぞれが設定したテーマを堂々と披露していると感じました。デッサンや構成に過不足はあるものの、絵を描くうえで最も大切な部分(と私が思っている)『描き表したいこと』ということはしっかり押さえているようです。…コレだけ絵心をもった、たくさんの若者がいるとは何とも妬ましい限りです(◕人◕)ノ


■竜騎士07 (シナリオライター)

【注目したイラスト】

タイトル:『狐緣』
受賞者:xiajiさん (海外代表)

独特の世界観と、コントラストをはっきりと出しての“物語”のわかりやすさが、個人的に一目惚れでした。露出が多いにもかかわらず、それが下卑ず独特の雰囲気を出しているのが気に入っています。

【総評】
絵も小説も、作者の世界を伝える手段に過ぎません。その手段の技巧ではなく、それによって伝えようとする“世界”を見て、この度の評価とさせていただきました。
どなたの絵にも個性的な世界が込められており、49の作品を拝見することはそのまま、49冊の小説を読んだかのような気持ちになりました。本当に味わい深い作品ばかりでした!


■Mr. (アーティスト)

【注目したイラスト】

タイトル:『ι Draconids』
受賞者:里伊さん (岡山県代表)

画面内の複数の円のコンポジション、カメラのレンズ的ハレーション、作画の上手さ、バランスがいいです。キャラの目が開いていたら、さらにいい気もしました。

【総評】
日本のアニメやマンガの爆発的な発展は世界では珍しいものだと思うのですが、高度成長期からずいぶん時間が経ち、進化、成長、成熟してきました。結構、内向きになり、縛られているようにも思ったり、時世の影響が大きいと思いますが、pixivには若い人が多いと思います。まったく新しいものを作っていくのは若い人たちだと思いますので、創造していっていただきたいです。


■POP  (イラスト芸人)

【注目したイラスト】

タイトル:『チャイルドフット』
受賞者:桃色 椿さん (岐阜県代表)

色合いがとてもキレイでしかも目立つ。ちょっとノスタルジーな雰囲気が際立ち、左の女の子の水色がかなりキいてます。細かいところの芸も凝っています。女の子もかわいい。でも日章旗とドットなインベーダーは色々とギリギリ。

【総評】
皆色合いがすごくきれいで細かく描き込んでいてすごい。自分にはできないぞー!
発想も凝っています。ただpixivにかぎらず即売会も含めてなのですが、意外と「児童向け・絵本向け」な雰囲気の絵をあまり見かけません。
自分はその手が大好きでよく描いたりしますが、楽しいですよ。みなさんも是非!


■pixiv事務局より

昨年から開催しているP-1GRANDPRIXも、無事第2回目を終える事ができた事を嬉しく思います。先行展示会での来場者の方々や、参加者の方々のお言葉を拝聴し、様々な個性を持った描き手によって描かれたイラストを見る楽しさ、描き続ける事で成長する喜びを、改めて感じさせていただきました。

来場者投票、審査員共に多くの票を獲得し、見事今回グランプリを受賞された四々九さん。前回、第1回のP-1GRANDPRIX本選にも参加し、優秀賞に選ばれた里伊さん。CGでの参加作品の多い中、絵の具等の画材で独特の雰囲気を出し、佳作を受賞した独楽子さん。受賞おめでとうございます。これからの活躍を心から応援いたします。
そしてP-1GRANDPRIXに参加していただいたみなさま、本当にありがとうございました。


本企画は、創作に励むユーザーのイラストを応援し、様々な方に創作の楽しさを伝えるという目的の下に引き続き開催してまいりたいと考えておりま す。
また来年、P-1GRANDPRIX2012開催の際にはぜひよろしくお願いいたします。

◆P-1GRANDPRIX2011特設ページ
◆企画目録