pixiv事務局です。
2011年8月29日(月)~9月27日(火)の期間で開催された「新海誠×pixivイラストコンテスト」の受賞作品が決定しました。
本企画は新海誠監督が手がけた『星を追う子ども』『秒速5センチメートル』などの作品をテーマとする作品を募集したもので、日本国内にとどまらず海外からも多くのご投稿をいただきました。たくさんのご参加、ありがとうございました。
作品選考にあたったのは以下の4名です。
◇審査員
新海誠 (『星を追う子ども』原作・脚本・監督)
西村貴世 (『星を追う子ども』作画監督・キャラクターデザイン)
丹治匠 (『星を追う子ども』美術監督)
天門 (『星を追う子ども』音楽)
審査員のみなさまによれば「どの作品も素晴らしく甲乙つけがたかった」とのことで、選考は非常に難航しました。そこで、当初は予定していなかった特別賞(ミミ賞、スタッフ賞)を新たに設け、また各作品賞から次点を選出することにしました。
受賞された皆さまには新海監督、西村氏、丹治氏、天門氏4名のサイン入り「新海誠美術作品集:空の記憶 ~The sky of thet longing for memories~」を進呈します。
それでは、受賞された作品をご紹介します。
作品賞
『星を追う子ども』賞
タイトル:『星を追う子ども』
受賞者:高嶺そら さん
◇新海監督コメント
人は孤独な存在かもしれないけれど、その孤独が響き合うことに救いもある。作品のテーマを一枚のイラストで見事に表現しています。
◇西村貴世コメント
全体に漂うジュブナイル感が好きです。すっかり引き込まれました。アスナとシンという対比も素晴らしい。
◇丹治匠コメント
パステルカラーの淡い色彩が美しいです。構図や絵の内容もおもしろくて『星を追う子ども』の世界をうまく表現してると思います。
◇天門コメント
対になるようにシンが描かれているのがいいですよね。二人の心理描写をうかがわせる一枚。
■次点
タイトル:『星を追う子ども』
受賞者:長月瑞穂 さん
◇新海監督コメント
互いに別々のところを見つめている二人の表情に見入ってしまいますね。寂しさがつながっている、という作品テーマが美しく描かれています。
◇西村貴世コメント
キャラクターに情感がありますね。青い糸が印象的。
◇丹治匠コメント
二人はラジオのイヤホンで繋がってるのでしょうか。離れているけど繋がってもいるという二人の関係性が明確なデザインでまとめられていますね。
◇天門コメント
デザイン的にも収まり良い気がします。二人の涙が物語っていますよね。
『秒速5センチメートル』賞
タイトル:『届けない手紙』
受賞者:小呆 さん
◇新海監督コメント
「桜」と「手紙」と「過去」が未来へ向かう力につながっている。工夫の凝らされた素敵な絵です!
◇西村貴世コメント
手紙の文面といい、色彩やキャラクターまで愛情深く伝わってきました。タカキの表情が良いですね。
◇丹治匠コメント
『秒速』という作品を手紙や写真や小物で重層的に表現してあっておもしろいです。丁寧に描いてあって作者の人柄が見えてくるような絵だと思います。
◇天門コメント
ぱっと見た時にすぐに引き込まれました。「ほしのこえ」を思わせる手紙もなかなか切なくて良いな、と思いました。
■次点
タイトル:『こんなとこにいるはずもないのに。』
受賞者:IBAN さん
◇新海監督コメント
人物にも背景にもとても力がこもっていて、作品への深い愛情を感じます。幸せそうな中学生の明里を見つめる、大人の貴樹の表情がなんとも言えませんね。
◇西村貴世コメント
繊細かつパワフルな作品ですね。さわやかに見えるところも好きです。
◇丹治匠コメント
劇中とはちょっと違ったキャラクターが、また新たな興味を誘うような、印象的な絵ですね。本編の貴樹よりも幸せそうです。
◇天門コメント
すごく繊細な印象を受けながらも、密度の濃い感じがして力作だと思います。
『雲のむこう、約束の場所』賞
タイトル:『世界のむこう』
受賞者:Habata さん
◇新海監督コメント
サユリの夢の世界がとても幻想的に描かれています。見る人を不安にもさせ、懐かしくもさせる不思議な絵ですね。自分の夢にもこの風景が流れ込んできそうな、不思議な力を持ったイラストです。
◇西村貴世コメント
この絵の空間は深みがあってついつい見入ってしまいました。空のスケール感良いなあ。
◇丹治匠コメント
不思議な迫力があります。サユリの心の中が絵画的なタッチで表現されていて印象的です。
◇天門コメント
空に迫力があって力作だと思います。
■次点
タイトル:『プラットホーム』
受賞者:Mac naut さん
◇新海監督コメント
スタッフが描いたんじゃないかと思うくらい、作品世界の美術を的確に表現してくれた力作です。放課後のプラットフォームがあった年齢に戻りたくなってしまいますね。
◇西村貴世コメント
非常にストレートでいて力作ですね。三人の仕草や雰囲気も自然で好きです。
◇丹治匠コメント
『雲のむこう』の1シーンを別の角度から見てるようで変な感覚を体験しました。完成度の高い丁寧な仕事ですね。
◇天門コメント
本編にもありそうなシチュエーションですよね。何気ないひとコマという感じが好きです。
『ほしのこえ』賞
タイトル:『届きますか?』
受賞者:おたけやん さん
◇新海監督コメント
遠い星のあの人にどうかメールが届きますように、そんなミカコの思いが凝縮された一枚です。誰かに思いを届けたいと願うのは美しいことなんだと思わせてくれるイラストですね。
◇西村貴世コメント
深い空の色彩と、シャープな光の表現が美しいと思いました。
◇丹治匠コメント
絵の見せ方が上手いですね。ミカコの孤独感が上手く表現されてると思います。
◇天門コメント
このままポスターになりそうな感じですね。
■次点
タイトル:『The voices of a distant star』
受賞者:Totuka さん
◇新海監督コメント
SFロボットアニメの醍醐味が凝縮された一枚です。まだ誰も見たこともないはずの景色なのに、どこか郷愁を感じるのが不思議ですね。
◇西村貴世コメント
そうだ、「ほしのこえ」ってこういう一面があったんだって思いました。メカカッコいい!
◇丹治匠コメント
メカニックな部分のディティールや地球の雲の表現に絵を描く力量を感じます。色もとてもきれいですね。
◇天門コメント
人が宇宙に進出してゆく、という事がどういう事か。そんな事を考える一枚ですね。
全作品賞
タイトル:『アガルタ』
受賞者:石竹 さん
◇新海監督コメント
アガルタを背景に全員集合ですね。意外なキャラ同士が向きあっていたり、ハイブリッド電車にひっそりお父さんが乗っていたり、見れば見るほど楽しい一枚です。
◇西村貴世コメント
個人的に「猫の集会」がフィーチャーされていて嬉しいのです。
◇丹治匠コメント
楽しい一枚ですね。この状況自体がとてもおもしろいし、それぞれのキャラクターの特徴をちゃんと表現できていると思います。ケツァルトルと向かい合ってる貴樹と明里(?)が何を話してるのか気になります。
◇天門コメント
新海作品がメジャーからマイナーなものまで網羅されている所が良かったです。
個人賞
“新海誠”賞
タイトル:『今、想うのは君のこと』
受賞者:ありこ さん
◇新海監督コメント
描線も塗りも構図もすべてが好みです!皆、ここにいない誰かのことを想っているんですね。僕の作品からこんなに素敵なイラストを産み出していただけて、本当に嬉しいです。
“西村貴世”賞
タイトル:『雨上がりの雪』
受賞者:野宮 秀作 さん
◇西村貴世コメント
秒速5センチメートルを見終えて、この絵を描こうと思ってくれたところに胸を打たれました。きっとこんな日もあったよねって思います。二人の距離も絶妙ですね。
“丹治匠”賞
タイトル:『始まりの歌』
受賞者:REDCANDY さん
◇丹治匠コメント
一目見て心を掴まれました。夜空を表現するさまざまな青色の豊かさ。まるでゆっくりと動いている有機体のような星々や音符の広がり。さらにはこの映画の本質を的確に捉えた大胆な構図。小手先の技術を超えた「絵」本来の味わい深さを感じさせてくれます。素晴らしいです。
“天門”賞
タイトル:『RomantiC』
受賞者:濁流 さん
◇天門コメント
走馬灯のような新海ワールドヒストリーという感じの大作で良かったです。
特別賞
ミミ賞
タイトル:『作品別「猫の集会」』
受賞者:ますくとらんす さん
◇新海監督コメント
この発想はなかった! 次回作にも猫を出さなければいけないような義務感に駆られます(笑)。
◇西村貴世コメント
チョビ@桜花抄も描いて欲しかったよー。
◇丹治匠コメント
これは「ミミ賞」確実でしょう。でも「猫ビール」飲むんですね。
◇天門コメント
新海作品には猫が多いですよね。連作面白かったです。オチも効いてて楽しいです。
スタッフ賞
タイトル:『約束』
受賞者:香月 みゆう さん
◇新海監督コメント
キャラも舞台背景も本編とはちょっと違うんですが、一目見ただけで忘れられない力を持ったイラストです。それぞれが焦燥を抱えそれぞれが救いを求めている、という思春期のどうにもならなさが見事に描かれていますね。
◇西村貴世コメント
刺さってます。こちらの胸にも何か刺さりました。
◇丹治匠コメント
いいですね。はじめに描きたい!と思ったヴィジョンを曲げずに描ききった意思の強さのようなものを感じます。構成がおもしろいです。大胆なほどおもしろいんですね。
◇天門コメント
シュールですね。
美しい世界を描いた作品が数多く集まりました。受賞された皆さま、おめでとうございます。