pixiv事務局です。
7月31日から8月31日の期間で予選を行い、11月2日から11月4日の期間「pixivZingaro」にて本選先行展示審査を開催していた新人賞企画「P-1GRANDPRIX2012」ですが、本年の受賞者が決定しました。
それでは、審査と投票によって選ばれた2012年の受賞者の方々を紹介します。
◆P-1GRANDPRIX
賞金20万円/P1トロフィー/Quarterly pixivに掲載
描き下ろしイラストの依頼
『くじらのいるまちと飛行船』
長乃 さん (大阪府代表)
◆優秀賞
賞金10万円/スタートロフィー/Quarterly pixivに掲載
◆佳作
賞金5万円/スタートロフィー/Quarterly pixivに掲載
『Halloween Magic』
金村 連 さん (東京都代表)
審査員の方々から、最も注目したイラストに対するコメントと総評をいただいております。
赤りんご(イラストレーター・デザイナー)
【注目したイラスト】
『くじらのいるまちと飛行船』
長乃 さん (大阪府代表)
パートカラーを思わせる色の置き方が鮮やかで、印象的です。視覚的に白に近く、モノトーンへの差し色に使うのが難しい黄色を柔らかい色調の中でとても上手く使っていると思います。見習いたいです。
【総評】
線の数・小物の数において非常に華やかかつ見ごたえのある作品がいくつもあった反面、仕上げの丁寧さにおいては全体的にやや粗削りな印象がありました。解像度72dpi・96dpiのモニタ上で、350dpi以上の高解像度印刷に耐える丁寧さを追求していくのは本当に難しい事だと思いますが、本企画の肝である「印刷による展示」への意識が高まると、更に素晴らしいイラストが増えると思います。
安藝貴範(株式会社グッドスマイルカンパニー代表)
【注目したイラスト】
『くじらのいるまちと飛行船』
長乃 さん (大阪府代表)
モノトーンに黄色でお話を伝えようとする選択にやられました。ストレートに「これ好き!」で選んでしまいましたが、スムーズな筆致、水の表情もお見事。何度も見返したい絵です。
【総評】
皆様おしなべて、絵の質は一線級。絵に塗り込めた物語に想像を膨らませすぎて全作品を見終わる頃にはヘトヘトです。日頃フィギュアを作っている身からしても構図や色彩に強く刺激を受けました。でもちょっと。わかりやすすぎたかも?という感想も持ちました。そうして、もっと世間を見て、世界に出て、作家さん達が沢山刺激を受けると、伝わってくるモノがもっと強くなるかもと、将来のチャレンジに期待することが出来ました。
杏仁豆腐(イラストレーター)
【注目したイラスト】
『旅の途中』
かだち さん (茨城県代表)
夢を見ていて、目覚めから覚める卵のカラのようなガラスの割り方、配置した小物ひとつひとつにロマンを感じてうっとりしてしまいます。イラストの見どころが一つに絞られているので、すっきりとした抜け感を感じられるのも特に素晴らしいですね!
【総評】
みなさん初見で素晴らしいイラストなのはもちろん、また時間をかけてじっくり見ることによって様々に考え抜かれた深みのある設定が感じられたりと大変見ごたえのあるコンテストでした。審査させていただきありがとうございました!これからもみなさま、自分の一番魅力的なところを伸ばし大きく羽ばたいてくださいね!
大塚雅彦(株式会社トリガー代表取締役)
【注目したイラスト】
『くじらのいるまちと飛行船』
長乃 さん (大阪府代表)
空に浮かぶ黄色いくじらが、なにか物語を予感させる世界観を作り出していて印象に残りました。グレーな街の中でポイントとなる黄色が効いていますね。個人的にモノトーンな色調が好みなのもありますが。
【総評】
全体に技術的なレベルが高くて、5作を選出するのにも苦労しました。アニメ的な観点からキャラや世界観にこだわっている作品を中心に選びましたが、作品の優劣などではなく完全に個人的な好みによるものです。気になる点としては技術の高さから逆にコンパクトにまとめてしまう傾向を感じました。 もっと暴走しちゃってるはじけた作品も見てみたかったです。
大村正明(株式会社エンターブレインキャラクターコンテンツ局 局長)
【注目したイラスト】
『芽生えたきもち』
ことコト さん(熊本県代表)
ろうけつ染めの藍染のような、綺麗な藍色と白色のコントラストに目が惹きつけられました。キャラクターを白単色で表現したことも強く印象に残ります。凛とした佇まいの女の子の姿、ふんわりと広がって透明感あるワンピースの描写が美しいですね。
【総評】
奥行きある構図やセンスある色彩設計、幻想的な世界観など、一枚絵としての総合的な巧さが目立つ作品が多かった印象です。特に背景や小道 具などの描写を繊細かつ丁寧に描いている作品のクオリティーが際立っているように感じました。その反面、一目見てドキッとさせられる強烈なキャラクターは少なかったような気がしますね。
左(フリーイラストレーター)
【注目したイラスト】
『ゆめ』
くろのくろ さん(三重県代表)
素直に行ってみたい、座りたいと思わせる魅力的なショット。適量で的確に光を入れていてこれだけ多くの物、色が混在しているのに非常に纏まっていると思います。もちろん隅から隅まで楽しめて二度美味しいイラスト。
【総評】
今回が初めての経験となりますので「今回のコンテスト」というよりはpixivコンテストに触れてのコメントだと思って頂けると嬉しいです。まずは皆さん何かしらのテーマを盛り込むというメンタル面と一目でわかる圧倒的な密度のフィジカル面、ウェイトの配分は個人差があれど、どちらにも意識を払っている方が多いと感じました。モチーフや色使いの差だけに留まらない本当に幅広い作品が集まるコンテストだと感じました。
真野恵里菜(歌手・女優)
【注目したイラスト】
『cromo』
四々九 さん(福岡県代表)
黒と白の対比がとても幻想的に表現されていて、とても惹かれました。どういう意図で描いたのかとても考えさせられた作品でした。
【総評】
初めて絵を目にしたとき、本当に驚きました。すごく力強く描いている作品もあれば、可愛らしさのある作品もあって、でも何か意志を感じるものばかりで。皆さんがどうやって描いたのか覗いてみたいです。
村田蓮爾(イラストレーター・デザイナー)
【注目したイラスト】
『ゆめ』
くろのくろ さん(三重県代表)
俯瞰のとても面倒臭い構図を逃げずに描いているのには頭が下がります。丁寧な彩色配置や視線誘導もすばらしいと思いました。手慣れた感じで見ていて安心感があります。
【総評】
時間をかけて描いている凝った力作揃いで驚きました。それぞれに表現力が豊かですばらしいと思います。ただ、少し欲を言えばキャラクターがもう少し強ければ良いなと思います。
HERO(会社員・イラストレーター)
【注目したイラスト】
『辿れない線路』
澄まし さん(富山県代表)
遠くを見つめる女の子の表情と冷たい空気が、この場面の前後を想像させます。描き込みもさることながら、空のグラデーションがとても切なくキレイだと思いました。
【総評】
限られた四角の中の絵だと思わせないような、広い世界をたくさん楽しませて頂きました。このキャラクターは、この場所は一体どういう世界に生きているのだろうと思わず知りたくなるような描写ばかりで、大変見応えのある作品達をこうしてゆっくり眺めることができて嬉しいです。また、「光」や「空間」などの使い方、構図、とても勉強になりました。
mebae(イラスト・漫画・ときどきアニメ)
【注目したイラスト】
『Crystal』
荒川 さん(埼玉県代表)
時代性、独創性という点で優れていると感じました。荒川さんは以前から注目しているクリエーターさんです。最近の絵は、特にすばらしいと思います。色が綺麗ですよね。硬質な「音」と「静寂」を同時に感じさせます。
【総評】
「絵が好きだ」という素直な気持ちが伝わってくる作品が多く、すばらしいと感じました。一方で、もっと変なテーマやアイディアで勝負する。見ている人を脱力させてやろう。そういう作品が、もっとあってもいいのかな、と。よいまち さんの「学生時代の落書きでP-1参加してみた」のような作品がたくさん出てくると、pixivがもっと豊かで好ましい場になると思います。いかがでしょうか。
2012年のグランプリに輝いた長乃さん、優秀賞に選ばれた荒川さん、佳作を獲得した金村 連さん。
受賞おめでとうございます。これからの活躍を心から応援いたします。
そしてP-1GRANDPRIX2012に参加していただいた皆さま、本当にありがとうございました。
本企画は、創作に励むユーザーのイラストを応援し、様々な方に創作の楽しさを伝えるという目的の下に引き続き開催してまいりたいと考えております。
また来年、P-1GRANDPRIX2013開催の際にはぜひよろしくお願いいたします。